INTERVIEW

株式会社SOFTG 鈴木取締役にインタビューをしました。

DXビジネスパートナーズを運営する株式会社SOFTGは1982年に創業し、“これからはソフトの時代だ。先んじてソフト開発の技術を研鑽し、技術者を育成していくことをミッション” とし多くの技術者を輩出してきました。公共交通機関予約システムやネットショッピング等、数多くのITシステムを開発してきました。
近年の株式会社SOFTGはWeb系やスマホアプリなどはもちろんのこと「RPA」「AI」「IoT」など先端技術も積極的に取り組むことで事業領域の拡大を進めており、その集大成を新事業として開始する理由を探るべく、DXビジネスプロデューサー 鈴木取締役からお話を伺いました。

鈴木取締役は株式会社SOFTGの理念の一つである「楽しい会社にする」を原動力にDXビジネスパートナーズを提唱した。鈴木取締役からは、デジタル化が遅れていることを憂い、他社のやらない、やれないビジネスにも果敢にチャレンジし「楽しい会社にする」ことでデジタル化が進展し笑顔が広がる社会が実現するという想いを強く感じました。

事業推進の原動力となる志や大切にされる価値観

DXビジネスパートナーズを事業化した経緯を教えてください。

当社は1982年に創業し40年近く日本を代表する企業の基幹業務システムの開発・運用を行っています。
私自身も前職を含め多数の知名度が高く社会に影響力のあるシステムを手掛けてきました。
中でもDXの前身ともいえる「家庭用ゲーム機予約 eコマースサイト」の立ち上げに携わったことが大きな要因です。
もう20年以上も前になりeコマースの黎明期ともいえる頃に家庭用ゲーム機をWebで事前予約ができ発売日には手元に届くという初めての試みで多くの人に期待され、社会的にも注目を浴びていました。

ところが先行予約受付を午前0時に開始したとたん瞬く間にサイトがダウンしてしまいました。
原因はアクセス集中で今ではよく聞く話ですが、当時としてはサイトがダウンするということはまれで"新聞の一面を飾り"テレビでも大々的に報道されることになりました。
現場は修羅場と化しまさに地獄絵図とはこのことか・・・という状況でしたが、やがて復旧し予約が受け付けられるようになりましたが、まだ苦難は続きました。

2度目の地獄は、注文者の受注番号を入力すると他人の情報が閲覧可能な状態となっており、第三者からの不正アクセスにより個人情報が流出し、またもや"新聞の一面を飾り"テレビでも大々的に報道されることに・・・私が知っている限り個人情報が流出し大々的に報道されたのは不名誉ですが日本第一号だと。

やがて数々の苦難も収束しましたが、私の心の中は疲弊しただけではなく真っ暗でした。「もうこの業界で生きていくことはできない、こんな大障害や大トラブルを引き起こした人間に仕事を依頼する人なんかいない」と考えるようになっていました。

ところが全くその逆で私にeコマースの相談や依頼が殺到してしまったのです。
なぜそのような状態になったのか、しばらくは全く分からなかったのですが皆さんが共通して言われることは「よくあんな大トラブルを潜り抜けましたね」とか「普通では経験できないようことを短期間で素晴らしかったです」と称賛のような言葉をかけていただき複雑な気持ちでした。

ある日、この案件を発注していただいた方から言われたのが「どこのベンダーもトラブルを恐れて新しいことを避けたり、保険に保険を掛けたような金額を言ってきたあげく、トラブルになれば自責だ他責だとか言って自分の範囲以外のことは対岸の火事といった振る舞いをする。御社は無理を承知で短期間でサービスインさせ大トラブルになっても逃げずに一緒に原因調査や復旧を一心不乱に対応してくれた。そして多くのトラブルに直面したことで多くの知見を得て、同じトラブルを起こさないためにはどうすればよいのかをノウハウとして蓄積している。そんなベンダーは御社しかいないと思っているから、みんな相談しに来るんですよ。」と言われて当時はなるほどと思い、その後は有頂天になり次々とeコマースサイトを立ち上げていきました。
今考えれば「ただのお人よしの怖いもの知らず」なんですが・・・


さてなぜDXビジネスパートナーズを事業化したかですが、大トラブルを起こしそのトラブルが社会に多大な影響をもたらし、大トラブルが復旧すれば多大な喜びや興奮が社会に多大な影響をもたらすかを経験したことで、私たちのこのシステムの仕事は社会的に大きな意義があることだと達観したからです。
正直「DX」でなくても「IT」でも「システム」でもよかったのですが「DX」はシステムを作ることもIT化やデジタル化することも包含した手段であり戦略であることから、ある意味都合がよかったんです。
ビジネスモデルを変革させるにはシステムを作ってもデジタル化するだけでは実現できず、システムを使う”人”と汗を流して働く”人”、そしてその一つ一つを取りまとめたり改善したりする”人”が実行しなければ、変革した姿にはならないのです。
AIやロボットが人に代わって、近い将来”人”が必要なくなってくると言われていますが、それはいまの仕組みをそのまま置き換えていくのであれば、単純に”人”が必要なくなるとは思います。しかしこれからも永遠に”人”は変革を求め、実現するためには”人”が人を含めたAI・ロボット・ITといったリソース群をデジタルでつなげて持続可能な社会を作り上げていく必要があり、それを実行するのは”人”=”ビジネスパートナーズ”だからです。

真のDXについて教えてください。

「世界デジタル競争力ランキング2020」で27位の日本・・・日本人にとっては悲しいニュースです。
そして日本のDXはいつの間にかデジタル化=DXにしてしまいました。
一つの理由として「DX」というキーワードが不明解でどうとでも取れてしまうところもあるので、アンケートにデジタル化していればDX化と答えてしまうことが原因であると推測されます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉に
DXという言葉が氾濫し意味も様々な解釈があり、私も迷走し続けた時期がありましたが、原点回帰し、もう一度、真の意味を明確にするところから始めました。

まずはキーワードを「デジタル」「トランス」「フォーメーション」3つに分解し
「デジタル」は単純に辞書を引くと”連続的な量を、段階的に区切って数字で表すこと・・・”
私たちの日常理解していることとちょっとかけ離れしてしまうので、ここは一旦割愛して
「トランス」は「超越」、「フォーメーション」は「陣形」と訳すことにしました。

ですので日本語で表現すると「デジタルによる超越した陣形」が私はしっくりきました。

「超越した陣形」を更に意味を深堀すると

超越:普通の程度を、はるかに越えること。

陣形:"陣形とは戦闘において安全を確保し、柔軟かつ迅速な対応を可能にし、戦闘力を最大限に発揮するための人員と装備の類型化された配置である。"(Wikipediaより引用)

ファイル:Hachijin.svg
Wikipediaより引用)ファイル:Hachijin.svg

と辞書に記述されており、更に現代的なフレーズにすると
『デジタルを駆使し、普通の程度をはるかに超え、ビジネスにおいて安全を確保し、柔軟かつ迅速な対応を可能にし、付加価値を最大限に発揮するための人員とソリューションをフレームワーク化された体制である』
と言え、私はこれが真のDXだと考えます。